souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

決勝ドイツ 0-0 a.e.t.1-0 アルゼンチン

今回のW杯は、ちょうどベスト16〜準々決勝をベトナム出張前後のバタバタでリアルタイム観戦していなくて、気がつくと4チームになっていた。
で準決勝だが、最初は、開催国ブラジルが歴史的大敗を喫した「ベロオリゾンテの惨劇」。このショックが伝染しリスクを冒さずに相手の良さを消すことになっちゃったんだろう。もうひとつは、W杯史上最も退屈なSFとなったオランダ×アルゼンチン戦である。


3決は面白かった。固い守備+飛び道具ロッベンのキレでベスト4に残った無敗オランダが、「2連敗するわけにいかない」ブラジルの意地を逆手に、見事に返り討ちにした。ブラジルは泣きっ面にハチ。最後は屈辱の「第3GK起用」。ファンハールもエグいことするよな。5バックだのPK戦直前のGK交代だのはまだしも。
でも、例え強くても今のオランダは嫌いだ。俺が好きなのは、いや、好きだったのは、強力なFWが居て、強力なウィングプレーヤーが居て、ピッチには沢山の三角形があって、GKも参加して大きなパスを回すオランダだ。我侭な選手が監督に謀反を起こしてボイコットしちゃうような、強烈な個性を湛えたオランジェだ。
4年前に感じたオランダのドイツ化が行くところまで行った感があって、強くてもツマラナイんだ。


ハナシがのっけから逸れたが、決勝戦である。
W杯のファイナルと言えば、タイトル欲しさに「脇の閉まり過ぎた退屈な試合」というのが通り相場。ましてやこのカードは、疑惑のPKで決まった90年のイタリア大会と同じ。
ところが蓋を開けてみると、SFで退屈な試合をもうやっちゃったからか、本当にいい試合だった。こんな面白い決勝戦は、1986年の決勝以来じゃないかな。そういえば、そのカードも同じだったし。
でも、展開も結果も、28年前とは逆だ。今回は、テクニックで勝るドイツ×守備の堅いアルゼンチンという構図だった。流石にディマリアを欠くアルゼンチンの攻めはメッシのカウンター頼みになってしまったし、逆に、ペップ・グアルディオラバイエルンMに植えつけたバルサイズムをベースにティキタカを体現していたのがドイツ代表だった。
伝統的なサイド攻撃に加え、ポゼッションして小気味いいショートパスで相手DFにギャップを生じさせる突破は、本当に素晴らしかった。マラドーナやカニーヒャのテクニックやスピードを 走力や精神力で何とか食い止めていたドイツは、既に面影すらない。


いや、いざと言うときは粘り強く身体を張ったタフな守備を実践していたドイツは、やはり強い精神性(所謂ゲルマン魂というやつだ)のDNAを刷り込まれている。個人的には、献身的にアンカーでメッシを封じ込めた(これぞ滅私奉公)シュバインシュタイガーにMoMをさしあげたい。目下の流血が誠に絵になる男だ。彼は。
そう。ドイツが変わってしまった、ということではない。
ドイツは、伝統的な強みの上に「第2の矢」を持つに至ったのだ。


今回のW杯で強く印象に残ったことは、現代のサッカーは一芸では勝てない時代に突入したのではないか、ということだ。
そういう「更に上のレベル」に達したような気がする。


伝統の上に何を上積みするか。
ファーガソン体制の常勝マンUが、対バルサ大敗の後、香川(というマンUにとっての「異分子」)を獲得してでも実現したかったこと。アズーリが、伝統的カテナチオの上にポゼッションを加えて変貌を図ったこと。
ここ数年のサッカー界の流れは、如何に「上積み」するかが大きなテーマであって、それが今回結論付けられた、というか、流れが決定的になったという気がしてならない。
ギリシャコスタリカといった中堅国でさえ、相手によって戦い方を変えていたではないか。


翻って、日本はどうだろう。「自分たちのサッカーで世界をあっと言わせる」というのは、精神としてはとても天晴だが、同時に「鉄砲に竹槍で向かう」的な稚拙さも漂う。
結果的には1勝も出来ず「玉砕」である。あのスペインでさえ、一芸だけで勝てたのはたった1試合だけだったのだ。


でも、ここに至る道程は、ドイツにとっても長かったんだよ。
俺は8年前、延長で2点叩き込まれてイタリアに負けたドルトムントのSFを目の当たりにした。その日から今日の栄光への地道な努力は始まっていたのではないか。南アの4年前のSFもやっぱり敗戦。2大会続けてのブロンズコレクター。
こういう積年の悔しさを一杯湛えて、全員がサボらず、献身的に規律に則って、傑出した個人に頼らず戦い抜いた結果、はじめて栄冠をものできたのではないか。欧州勢は南米大会では勝てないジンクスが破られるためには、こうした背景が確実にある。


何れにせよ、死力を尽くした戦いは心をうちました。
いろいろゴタク並べる前に、まずはこういう試合をしてからだ。ニッポン。