souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

リアリストの勝利

いやあ。痺れた。
バルサの、恐ろしいまでの強さに、度肝を抜かれた。


バルサのあり得ないほどの強さは、2年前のローマ決戦との対比でより鮮明に浮き上がる。


ゴールを量産したクリスティアーノ・ロナウドテベスを擁した2年前と比較すると、マンUは「個」に頼るサッカーから「組織」で勝つチームへと変貌した。最近のマンUは、前線からプレスをかけ誰もサボらない、そんな印象だ。しかもその「変貌」の間、チーム力はほとんど落ちていない。プレミアの成績で見ても、得点力不足は杞憂だった(得点数は80点/年前後で全く落ち込みなし)。蓋を開ければ、昨季は勝ち点1差で惜しくも2位→今季はぶっちぎりの1位。まさにサーアレックス・マジック。恐るべし。
そのマンUが、ホームとも言うべきオールドトラッフォードで雪辱を期すのだ。いくらバルサと言えども、2年前のように楽勝という訳にはいくまい。


案の定マンUは、ベルバトフというファンタジスタをベンチにすら置かず、汗かきアスリートをずらりとピッチに並べた。そして中盤を省略し、DFやGKから前線に放り込んむ戦術を徹底した。リアリストだなぁ。
でも、これは全く妥当な采配なのである。今季のバルサに「素」で立ち向かっては、マンに一つも勝てはしない。あのモウリーニョ率いるレアルが0-5の歴史的敗北を喫したショックは、世界中のサッカー関係者にトラウマを植え付けたばかりではないか。


サーアレックスのこの戦術は、見事に奏功した。
ところが残念なことに、この戦術は10分しか持たなかった。やっぱり。


10分過ぎからバルサが完全に中盤を制圧し、真綿で首を絞めるが如く、獲物を料理しにかかった。それでもマンUは、どんなに押し込まれても、ディフェンスラインをキレイに2列に保ち、決してバルサの球回しに安易に飛び込まず、じっと耐えた。これはもの凄く堅い守備なのである。並みのチームなら、ボランチは簡単にディフェンスラインに吸収され、そこらじゅうに「門」ができ、その「門」にスルーパスを通されて点がバカスカ入ってしまう。


いったい何時バルサは狩りを始めるのか。そう思った矢先、27分のことだった。メッシが、ダイアゴナルにペナルティボックスを切り裂く。その結果生じた一瞬のディフェンスの綻びを、シャビは見逃さない。右足アウトサイドの、あり得ない角度の、意表を突くタイミングのスルーパスを、ポッカリ空いたスペースに走り込んだペドロにピタリと供給してのけた。ペドロはGKファンデルサールの裏の裏を突き、冷静にニアを抜くだけ。見事なゴール。プチ鳥肌。
こりゃあバルサの大量点かぁ?と思いきや、34分。スローインを奪ったマンUは、闘将ルーニーが怒涛のカウンター開始。ギグスへ当てた楔(実はオフサイドなんだけどもそんなことは誰も気にしない)を再びルーニーが右足に引っかけてダイレクトでサイドネットに叩き込む。マンU同点。敵ながら鳥肌。すげぇぇぇぇ。


要は、このクラスになると、一瞬の気の緩みが命取りになる。そういうことだ。
とは言え、マンUが追いついたおかげで、試合は俄然面白くなった。


レバ鱈を言っても始まらないのは百も承知だが、マンUが勝つとすると、この後畳みかけて一気にリードを奪って逃げ切る、あるいは、後半のアタマ5〜10分で点を取りに行くしかなかったな。多分。何故なら、次の1点で試合が決まることは誰の目にも明らかだったからだ。ところが現実には、後半8分、メッシのゴールでバルサが再びリードすることになる。


これも凄かった。マンUのディフェンスの最終ラインを突破し切って、美しく点を取ることを、メッシはキッパリ放棄したのだ。見事な「2列の罠」でバルサの攻撃を絡め取っていた蜘蛛をやっつけるには、遠くから飛び道具で仕留める。そういうことだ。
しかし、針の穴を通すような左足のシュートをファンデルサールの手の届かにトコロに突き刺すのは、決して簡単なことじゃない。メッシだからこそのスーパーゴールである。
鬼の形相で喜びを爆発させる彼を見ていると、敢えて華麗な「崩し」を捨てた「戦略の勝利」だったと再確認させられる。
う〜ん。唸るしかない見事なゴールである。


こうなると、バルサは余裕である。サイドを個人技で突破したメッシのクロスを受けたビジャが、ループシュートを見舞った3点目のバルサらしい崩しは、全くもって見事と言うしかない。


それにしても、バルサの圧倒的なポゼッション。67%。何それ?
シャビのパス成功率。91%。意味わからん。


ま、そういう「サッカー基礎能力」の格の違いはあるが、ともかくこの試合は、リアリストに徹した者の勝利であった、ということだ。この試合に比べれば、2年前のそれなど、子供のお遊びに過ぎない、そんな印象すら抱いてしまう。


バルサはどこまで強くなるんだろう。
やっぱり、今世紀最高のチームになっちゃうのかなぁ。


今から、冬のトヨタカップが楽しみで仕方がない。