souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

スペイン 1-0 ドイツ

いやぁ。昨日もなかなかスリリングだったが、この日も凄かったぞぉ。
準決勝#2@ダーバンは、準決勝#1@ケープタウンの翌日である。当然何万人、下手すると10万人規模の人間が大移動する。インフラが整っていないこの国では空路に頼らざるを得ず、空港は大混乱。そもそも8:30pmのキックオフに間に合わないかも知れないと思い、4:20pm着のフライトを変更するよう、1月の予約以来ずっと依頼してきた。まずそれはNGだった。それではと、ケープタウンに入った日にSAカウンターで変更をリクエストしたが、これもNG。カウンターのおばさんの甘言を信じ、当日は朝9時過ぎに空港へ行ってキャンセル待ちをしたが、これまたNG。オーケイ。仕方がないので待つことにしよう。
ところが定刻になっても搭乗案内がない。それどころか、搭乗口変更のアナウンス。何?バスに乗るの?? イヤな予感。何だかんだと離陸は1.5h遅れ、ダーバンの上空では着陸を待ってぐるぐると待機*1。結局市内へ向かうタクシーを掴まえた時点でキックオフまで2hを切っていた。チケットは手にしておらず、ホテルのチェックインも勿論未だ。絶体絶命のピンチ!とはこのことである。
そこからはB級ハリウッド映画だったぜ。タクシーの若い兄ちゃんがもの凄く飛ばして裏道を駆使し、試合会場近傍のカジノでチケットをピックアップ。ホテルには取り敢えず荷物だけ降ろして試合会場にできるだけ近づく。下ろされたのは高速道路の路肩。そこからゲートまでスタジアムの裏を走る。ビールも買わずに着席したのは、キックオフ15分前。ここで人生のツキの半分は使い果たした感じ。でもまあいいか。


で、肝心の試合である。


TVではどう見えたか分からないが、スペインは華麗にパスを回していた訳ではない。ドイツの堅い守備のブロックの前に成すすべなく球を「持たされて」いただけだ。少なくとも前半は、いたずらにポゼッションの高いスペインのペースではなく、完全にドイツのペースであった。


断っておくが、俺はスペインのサッカーを愛している。美しく強いサッカー。それは2008年の欧州選手権で出現し、その後のシーズンではバルセロナにて受け継がれ今大会に繋がっている。否、バルセロナが築いた土台の上にナショナルチームが立脚していると言った方が正しい。ナショナルチームと書いたが、実はかの国には「ネイション」の概念がない。と思う。それが証拠に、そこいらのスペイン人に「お前スペイン人だろ」と訊いてみろよ。決まって「いぃや、俺はカタロン(カタルーニャ地方出身)だ」と帰ってくる。カタルーニャ、カスティージャ、バスク、アンダルシア。民族帰属意識が強いこの国には、本当のナショナルチームが存在しなかった。
ところが無敵艦隊が勝ち続けるにつれ、国を挙げてチームは強くそしてどんどん美しくなっていった。その土台がバルセロナである。現代表にも、ピケ、プジョルイニエスタ、シャビ、ブスケス、ペドロと主力が並ぶ。アーセナルのセスクファブレガスだってバルサカンテラ出身だ。ピッチの上で同じイメージを共有できるからこそ、あの流れるようなパスワークが可能なのだと俺は思う。


話が逸れた。


後半、スペインは戦術を変えてきた。
無理に押し込むのではなく、DFラインとボランチの間のバイタルエリアを使う意図が、はっきり見えてきた。遠目からシャビアロンソがシュートを狙う。トップを2列目から追い越す。そういう戦術を徹底することで、横方向だけのポジション修正でよかったドイツのDFは縦方向の修正をも余儀なくされ、相当「走らされて」きた。まるでバタバタという音が聞こえてきそうなドイツDFの混乱ぶり。そうなるとポゼッションの高さは相手の体力を確実に奪っていく。
結果こそプジョルのヘディング一発だが、後半開始当初から続けた執拗な攻撃があったこらこそ生まれた一瞬の隙を、スペインが見事に突いた。そういう得点である。プジーも前半から惜しいヘディングを見舞っていたし、このCKだって2列目から飛び込んだ、言わばトリックプレーに近い。スペインが、考え抜かれた戦術で1点をもぎ取った。
対してドイツは、ちょっと手詰まりだった。最後の20分。このままでは終わらないと思っていたが、このチームって遅攻できないのね。がっちり守りを固めたスペインに放り込むだけで、ピケがことごとくはじき返していたし、唯一「色気のあるプレー」ができるエジル君は、疲れていたように見えた。「高さ」という強みを消されたドイツは自滅に近い格好で、オフェンス面では見るべきものなく敗れ去った。ディフェンス面でも綻びが時折見えたが、そこをカバーしていたのはシュバインシュタイガーの類稀な個人能力に頼っていた印象。ま、若いチームなので、これからには十分期待できるけど。


こうして、スコアこそ平凡な最小得点差であったが、濃厚で見ごたえたっぷり、フットボールの魅力に溢れた名勝負を堪能できたのだった。
あぁ。しあわせ。


ということで、決勝は、どちらが勝っても初優勝という、歴史的瞬間に立ち会えることになった。
そして3位決定戦も、若いドイツ vs. 唯一ベスト4に残った南米の古豪ウルグアイという好カードとなった。



ユニークなフォルムのモーゼス・マヒダ・スタジアム。




選手入場。




シャビが攻撃のタクトを振るう。



サイドでタメを作り、センターでは変化をつける大活躍のイニエスタ



ペドロのシュートは惜しくも右。



絶好調のビジャ。この人は今季バルサに加入しちゃいますスゲェェェ。



遠目から積極的に撃つシャビ・アロンソ



シャビ、イニエスタシャビ・アロンソ。豪華な中盤。



後半28分。CKにプジーのヘッド炸裂!



エスパーニャ!! エスパーニャ!!



落ち着いて試合を終わらせるイニエスタ。何もできないシュバインシュタイガーエジル君。



歓喜の輪オンザピッチ。



試合後、陽気なシニョリータと。



感染観戦できて、ホントよかったぁ。



おまけ。
翌朝の朝焼けと、七夕を名残惜しむかのような三日月。

 

*1:ことの顛末はこういうことだったようだ。
俺たち、600人にならなくて、ホント良かった。