souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

大いなる陰謀

★★★☆☆並 積極的には観ないな
どうにかならないかね、この邦題。原題は“Lions for Lambs”=羊に率いられた獅子たち、とでも訳すか。大いなる陰謀って言っちゃうとさ、勧善懲悪でもニヒリズムでもないこの映画の本質(どこにも正解がない苦悩を描き、観衆を考えさせる映画)をミスリードさせるだけだよね。
この政治ドラマは、基本的に6人の登場人物によって描かれる。
過去のテロとの闘いの誤謬を認めながらも、新たな軍事作戦の指示で結果的にまた犠牲を出してしまう上院議員。政府のプロパガンダに加担してしまった反省と大手に買収されて報道の自由が守れないジレンマの中で、苦悩するジャーナリスト。研究者として挫折し、優秀な若者を見出し育てる喜びと苦慮の狭間にいる大学教授。生きる目的を見失いつつある、現在の教え子。かつての教え子で、目先の個人的幸福に拘泥する同輩に苛立ち、志願兵として作戦に従事する有色人種の二人。救いのないような絶望の中にも、行動することを是とし敢えて前進を続けるアメリカという国の苦悩を鮮やかに切り取ってみせたのは、流石、社会派レッドフォードである。
お話だけをなぞれば、見応えありそうに思うだろう。そのとおり。お子様ランチの如き凡庸な張りボテハリウッド大作に比べれば相当マシだ。しかし、それならばペーパーバックを読めばよろしい。この映画には、肝心の映画的興奮が、ほとんど感じられない。
時差のある3ヶ所の物語が絡み合いながら同時進行する手法も、特段新しくもない。それが愛と哀しみのボレロなりバベルのように、登場人物それぞれの人生を深く映像に刻み付けているなら厚みのある映画になっただろうが、90余分の尺ではそれは適わなかった。
だから映画と言うより社会派問題提起プレゼンテーション。不都合な真実と同じ。だとすれば腹も立たない。大統領選の年にはこの手の「政治的立場表明もの」や、もっと言えば「過去の自己反省もの」が増えるなぁ、とか。