souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

異文化を超えて根を下ろすこと

前日の晩に調べたら、宿からCaltrainの駅までは歩いて行ける距離だと判明。Google mapは偉大だ。懸案の洗濯は金曜のうちに済ませたし、フロントで地図とCaltrainの時刻表を貰って(ほら、PCはあってもプリンターないからさ。紙であるとやっぱり便利だからさ。)いざSan Franciscoへ出発。


0:30pm。
1時間余りでCaltrainは海に程近い終点に到着する。
King st.を通ってAT&Tパーク*1を横手に見ながら、The Embarcadero(船が出ていく道ってな意味なんだろうなきっと)でpierを眺めながら北上し、Ferry Buildingに着く。
ここは元々は通関所だったのが現在はちょっとしたモールになっていて、土曜の昼過ぎは案の定観光客でゴッタ返していた。前夜にPaloAltoのシーフードレストランで喰ったダンジョネスクラブの値段なんかをチェックしながら、冷やかしでブラブラするのが楽しい。
トイレを済ませ、西の方角へClay st.を行く。Transamerica Pyaramidも雨に曇っている。
小腹が空いたので、Kearny st.の洪記麺家へ行くことにした。前夜にチェックしていたこのページのお薦めの店だ。何しろ僅か$3.90でワンタン麺が喰える。バカみたいに大量のポテトや付け合せに悩まされずに済む、在米アジア人の正しいファーストフードだ。極細の麺にプリプリの海老ワンタンが7〜8個浮かんでいる。オマケに優しい醤油味だ。雨天を歩き詰めた身体と気持ちがホッとする。
さて、一息入れたところで、Union sq.方面へ南下する。前日に靴が壊れて、折角だから買っちまおうという算段だ。
何軒か靴屋を覘くが、高すぎたり趣味が合わず参ったなぁと思っていたところで、Union sq.角のNiketownが目に入った。冷やかしてみると、黒の趣味のそこそこ良いairの$60が、$45で安売り。USナインハーフだと店員に言ってサイズを出してもらうとこれがピッタリなもんだから、即決買ってしまった。
隣のLevi'sも冷やかしのつもりで入ったら、514スリム・ジーンが気に入っちまって衝動買い。すっかり気が大きくなって、財布の紐も緩い。
夕食を摂るにはまだまだ時間がある。どうしたもんかと3分ぐらい地図を眺め、Geary blvd.を西へ。究極の冷やかし、話のネタにJapan Centerへ行ってみようと決意したのだ。
アップダウンのきつい道を、雨の中を、テクテクと歩く。明らかに街中からズンズン離れていく。Van Ness ave.も越した殆ど住宅街の中に忽然と変てこな五重の塔が見える。笑っちゃうようなこれがJapan Centerのランドマーク。
日本食のレストランからいかにもって感じの土産屋、果ては妙な太鼓屋まで、いろんなテナントが入っていて、予想に反して結構賑わっていた。日本人ばかりと思いきや、結構白人や中国、朝鮮系のアジア人も多い。最新のプリクラには女の子が列をなしていた。壁にはYoshi's*2吉田兄弟*3のギグが来週に迫ると書いてあった。紀伊國屋書店では、日本で買うと\370の“のだめカンタービレ”が$5.5で売っていた。評判のクレープ屋も大繁盛だったな。
流石に歩き詰めで疲れたので、夕食の目的地に行って場所だけ確認し近所のスタバあたりで休んで時間潰そうかと思ってFranklin st.を北上したら、何と高超海鮮は5時前だというのに開いていたのだ。(昼の休みがないのね、この店は。)
ここもこのページのお薦め。頼んだのは、酸辣湯(スーランタン)と鶏の包み揚げ、メインは海老のピリ辛炒め。キリンの一番絞りを飲みながら、ゆっくり堪能した。
本当に旨い。正直、この地でこんな旨い中華にありつけるとは思ってもみなかった。全然高級店じゃないんだぜ。2人前以上で(当然大半を「お持ち帰り」しました。)$30弱。こういう店は上海や台湾の街角やシンガポールの屋台ではお目にかかるけど、ホテルのテナントでもないのに普通の食い物が普通に当たり前に旨い、そういうことが路面店で起こるということの「凄さ」を目の当たりにした。文化がしっかり根を下ろしていないと、こういうことは絶対に起こらないのだ。流石に全米一のチャイナタウンを抱える街だけのことはある。
腹も膨れて幸せいっぱいになった俺は、Caltrainの駅まで(最後だけ)タクシーを飛ばして、6pm丁度の電車に乗って帰ってきた。
帰ってから地図で調べたら、なんだかんだと8kmぐらい歩き倒していたぜ。


世界中に遍在する中華街。そこに文化を丸ごと移植しミクロコスモスを形成するこの人種を、俺はどこか心の中で尊敬している。同じモンゴロイドが如何にしてかようなバイタリティと生命力を持続できるのか、不思議な気もするし、文化の行き交う場所で長年に亘り形成されたDNAなのだろうと納得もする。人種の坩堝だなんて嘘っぱち、その実サラダボールなのさ*4ということなら、空虚な融合を声高に叫ぶよりずっとマトモな根の下ろし方なのかも知れない。
Japan Centerのある種の空々しさを目の当たりにした直後だったから尚更そう感じたが、何れにせよ非常に強烈な胃袋体験であった。


それともうひとつ。
俺はつくづく都会の人間なんだな。老後は北海道の田舎に引き篭もって農園を、などというのは起こりそうもない。週末ずっとPaloAltoの田舎でのんびり過ごすなんてことは、足さえ確保されたらまっぴらごめんだ。
そういうことが今更ながらすごく判った。
たぶん、自然より人間が好きなんだろうと思う。


おっと、それからそれから。
食べきれないで持って帰ってきたフォーチュンクッキーを夜中食べようと噛み砕いたら、その中に入っていたのはこんなコトバだった。

May the song in your heart spread music to the world.

何だかとても嬉しいじゃねぇか。

*1:サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地。
スタジアム名が パシフィック・ベル・パーク → SBCパーク → 現在のAT&Tパークと、当地の電話会社の合併拡大に伴って変遷してきているのがいろいろな意味で面白い。

*2:SFで、否、ベイエリアで恐らく最も有名なジャズクラブのひとつ。日本人が経営しているらしく寿司を食わせるレストランも併設している。

*3:津軽三味線の兄弟デュオ。若さとテクニックとそのルックスで内外の評判も高い。結構洋楽との“他流試合”も積極的にこなし、ジャンルを超えて各界から評価されている。

*4:混ざり合ってハーモニーをとっているというのは幻想で、よくよく見ると個々の野菜がそれぞれゴロゴロと存在しているだけ、というアメリカの文化を皮肉るコトバ。