souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

報復行為の退場者はMVPに値しない

2006年ワールドカップのファイナル。
代表キャップで言えば、94年8月のチェコ戦から数えて108試合め。
そして、現役最後の試合。
その、延長後半5分。
残り10分を我慢できなかったバカ者が、しかし、2006年ワールドカップのMVPを獲得した。


「バカ者」とは過激な、とお思いの方々も多いだろうが、ちょっと考えてもみてよ。
定年最後の日の午後、公金の使い込みが発覚しました。そういう社員がいたとして。
どんな奇特な会社が、その社員を「社長表彰」と言って花束贈呈すると思う?


投票自体は決勝の試合以前に行われたものだと言う。
ならば、何故試合直後でなく、翌日になって発表するのだろうか。
ならば、折角の素晴らしい試合、いや大会に、水を差し、後味の悪さを世界中に振り撒いた男に、「決まったことですから」と再考せずMVPを授けるのだろうか。


今大会は、イタリアの集中力が際立っていた。
前回の2002年日韓大会では、クロアチアに一次リーグで逆転負けを喫し*1、決勝トーナメントでは韓国にゴールデンゴールで負けてベスト16で終わってしまったイタリア。俺は、もはやカテナチオも終わったか、と寂しい思いをしたものだった。
それが今回、鮮やかに伝統のカテナチオが復活し、しかもスペクタクルに満ちた多彩なオフェンスも体現して見せた素晴らしいチームとなって、堂々と優勝した。寧ろ「2006年は優勝するに相応しいチームが優勝した素晴らしい大会だった」とさえ言える、イタリアの快進撃であった。
MVPはイタリアの選手から選ぶべきだった。


俺がMVPを選ぶならば、GKのブッフォン、DFでキャプテンのカンナバロ、ボランチピルロ、この3選手が相応しいと思う。最優秀GKという賞もあるので、ならばカンナバロかピルロで決まりであろう。
カンナバロ。175cmと小柄ながら、抜群のポジショニングと鋭い「読み」で相手の攻撃の芽を摘む必殺ディフェンダー。相方ネスタが一次リーグで壊れても、ディフェンスラインの統率は最後まで崩れなかった。7試合計690分*2のフル出場。で、その間たったの2失点。しかもオウンゴールとPKしか許していないのだ。そして特筆すべきキャプテンシー。イタリアが、自国リーグの不正行為疑惑の動揺を感じさせないチームスピリットを発揮できた点でも、彼の功績は大きい。
ピルロ。一次リーグのガーナ戦、準決勝のドイツ戦、決勝のフランス戦の3試合で、マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれているとおり、フィールド上の彼は、中盤の底から優雅にゲームを作るファンタジスタそのものだった。特に印象に残るのは、ドイツ戦でのグロッソへのノールックパス、決勝のCKなど、見事なアシスト。ガットゥーゾとのボランチ・コンビは、大会で間違いなく随一だった。


確かにこの2人は、ジダンに比べると一般的なネームバリューは見劣りするかもしれない。まさか、フランスが決勝に進んだ時点で「あ、ジズーに決まりね、引退の花道ね」と安易に「名前で」決めているとまでは思わないが。


決勝の舞台で頭突きする人間に、わざわざMVPを授けることが、FIFAの権威を失墜させ、W杯の輝きを曇らせることになりはしまいか。
これが、「fair play, please.」を標榜しているFIFAの、世界中のフットボーラー、次世代を担う子供たちに胸を張って発表できるフェアな選出なのだろうか。


そして、授かった当の本人ジズーは、果たして嬉しいのだろうか。


【写真】 カンナバロにはsouxouquitから個人的にMVPを捧げます

*1:これは鹿島で観ていたんだよ

*2:延長戦が2回あったからね