souxouquit’s blog

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準決勝 フランス 1-0 ポルトガル @ミュンヘン・アレアンツアレナ

空港には午前中に着いた。
市内へ向かうSバーン*1からは、カーンが横っ飛びしている巨大なアーチが見える。観光でもビジネスでも、そこそこの大都市、バイエルン州ミュンヘンは、ドイツを代表する都市であり、他のどの都市にも似ていない街なんだろう。
宿に荷物を置き、ヴァイス・ビア*2をあおりながら昼飯を食うと、前日の強行軍の疲れがドッと出て、6pmぐらいまで寝こけてしまった。


今日の興味は、前日の「閉じた」試合から一転、「開いた」試合への期待であった。「ノーガードの撃ち合いで3-2」みたいな。
ところが、30分過ぎのPKで先制してから、フランスはかっちり「鍵をかけて」しまった。まるで、勝負に拘るイタリアのレアリスモを実践しているかのような見事に「堅い」戦い方だった。アンリは前線で孤立しようと、ひたすらキープして味方のサポートを我慢強く待つ。司令塔ジズーですら前線からチェイシングを怠らず、マケレレビエラ、チュラムといった鉄壁のディフェンスが落ち着いて相手の攻撃を分断する。
80年代のフランスは“シャンパンサッカー”と言われた。まるでシャンパンの泡が弾けるような魅惑の中盤を誇っていたからだが、同時に「決してゴールへ向かわないサッカー」だの「ここ一番では最高の引き立て役にしかならない勝負弱さ」と批判も浴びた。現に94年米国大会の予選ではホームでの最終の2節で勝ち点1を積み上げることができず、「次回開催国が自力で予選突破できない」という最悪のネタを世間に晒してしまったのだ。ドーハの悲劇の僅か3週間後のハナシである。
ところがこの日のフランスはどうだ。
見事なまでの「勝つための」試合運び。今だに98年優勝メンバに頼っている「老人チーム」という批判も何のその、むしろブランデーのごとき芳香を放つ、円熟とも言うべきリアルなサッカー。かつての少年が如きナイーブさはすっかり消え、大人のサッカーがそこにはあった。準々決勝ブラジル戦で垣間見えた狡猾ぶりは、やはり本物であった。
フランスをこうまで劇的に変えたのは、間違いなく98年の「優勝」という経験なのだろう。「94年の予選敗退から僅か4年後に自国開催大会で優勝」というのは、いささか出来過ぎたストーリーではあるが、国のサッカー協会において、W杯の「結果」を勝ち取るために積み上げた「経験」がどれだけの財産になるか、目の眩む想いだ。かつてのナイーブで自己満足的美意識に彩られたフランスのスタイルに、日本の姿を重ねてしまう俺は、だからこそ、早くベスト4、ファイナリストに到達してほしいと願っているのだが。。。
ハナシが逸れた。
ポルトガルは、C.ロナウド一人が気を吐いたが、フランスの堅守を崩せなかった。フィーゴが思ったより良くなかったし、パウレタは消えていた。司令塔デコはマケレレに仕事をさせてもらえなかった。


これで決勝は、イタリア対フランスという優勝経験国同士の戦いになった。これは果たして面白いのか?
「どうせ優勝経験国同士の戦いならブラジウ対アルゼンチンが観たかった」などというヤボは言うまい。
守備的なサッカーを身上とする「本家」イタリアと、その「後継者」の如きフランス。今大会の特徴で言えば、オフェンスにタレント豊富でカテナチオ一辺倒でないイタリアと、ゲーム毎に完成度を上げていったフランス。この2チームのファイナルは、欧州開催のW杯に相応しい。同じ顔合わせだったEURO2000のファイナルも、緊迫した素晴らしい試合だった。


しばし堪能しようではないか。


【写真】 明暗くっきりな2人、ジズーとフィーゴ

*1:近郊の国鉄のことね

*2:瓶内発酵する原材料小麦の味わい深いビール