souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

2002年のいくつかの新作

今年は大御所の新作発表が相次ぎ、おいらはとても楽しめた。
前世紀のロックのある部分を確実に担ってきた彼らの感性が、21世紀の方向性をやっと語り始めたというところだろうか。


まず6月に発売されたHeathen/David Bowie


こりゃあ、たまげた。まあ、呆れる程70年代のボウイだ。
特に彷彿とされるのはジギー時代。前作「Hours」(:99年)で披露されたびっくりする程素直な声とウィリアム・ウィルソン的「死にゆくボウイを看取るボウイ」のジャケットに接した際、ひょっとしたら次作は先祖がえりするかも、と予想はしていたが。プロデュース:トニー・ビスコンティ、ギター:カルロス・アルマー、ピート・タウンゼントと来りゃあ、サウンドも想像できるだろうが、その想像のまんまの音。
ただサウンドは70年代でも、表現者としてのボウイは「今をあるがままに生きている50歳すぎのアーティスト」であり、その淡々としながらも力強い姿勢はアルバム全編を貫いている。M10:Everyone Says ‘Hi’ を聴いた時なんか、泣きそうになった。
スケアリー・モンスターズ発表後死んでいたボウイの魂は、20年の歳月を経て復活した。時代の過度な要請に押し潰されることもなく、ただ一人のサウンドクリエーター/パフォーマーとして静かに佇むボウイがここには居る。
★★★★★+復活に乾杯。


9月にはPeter Gabrielが新作 UP を発表。


オリジナルアルバムとしては大ヒット「US」以来10年ぶりということになるが、2000年にはロンドンのミレニアムショウのためのサントラ「OVO」を発表したこともあり、あまり飢餓感もなく素直に聴けた。
おいらにとっては『神様』なので、とても冷静な批評はできないのだけれど、一般には評価は分かれるんだろうなぁ。
M1:Darkness は Intruder(Ⅲ-meltのオープニング)を想起させるし、シングルカット第一弾のM6:Barry Williams Show も、サウンドとしては Big Time(「So」) や Steam(「US」) の焼きなおし、プライバシー暴露のTV番組批判というテーマもとても陳腐だ。キャッチーなメロディーとかっこいいサウンドアレンジを期待している向きには本作は、暗い、と思う。


10月にはついに、と言おうか待望のしょうがない/King Crimsonが発表された。


これは問題作。
一番の話題は、M8:Potato Pie なるバリバリのブルース・ナンバーが収録されたこと。これは賛否両論沸き起こすだろう。おいらの評価はネガティブ。クリムゾンにこんな陳腐なブルースは期待していない。
フリップにとってブルースが重要なモチーフになっていたのは明らかであり、「酔っ払うと3コードでブルース演りだす」という噂もおいらは全く自然に信じられた。ファーストアルバムのM1(21st Century Schizoid Man)から、クリムゾンの絶頂期のラストアルバム Red のラストナンバー(Starless)に至るまで、特に中間部におけるブルージーな展開は見事の一言だったではないか。
かつて Great Deceiver(Starless And Bible Black)において、大胆にロックンロールを解釈してみせたクリムゾンである。ブルースを料理するにしても「クリムゾンならでは」を期待するおいらにとっては、全然もの足りない。
その他、M6:Shouganai も Larks’ Tongues in Aspic part1 のイントロにそっくりで、このガムランの後にはどういう展開?と期待した途端に曲は終わってしまう。
Larks’ Tongues in Aspic と言えば part4 のライブ音源がM9に再録されているが、演奏自体は悪くないながらスタジオアルバムに収録すべきかと言うと疑問が残る。
最も聴き堪えのある意欲的ナンバーはM2:Happy with What You Have to Be Happy with。へヴィーメタル・クリムゾンのオルタナティブ的再構築で、サウンドは素晴らしいのだが、「歌詞ができたら俺はこう歌う」とか「サビを書かなきゃ」って言う楽屋落ちに頼っているのがとても気になる。というのも、大抵バンドが衰退するタイミングにこういう歌詞が登場するのを、しばしば眼にしてきたからである。
最近フリップ先生ったらちょっと商売上手いんじゃないの?フルアルバムって言いながら35分しか音が収録されていないし、「2003年に発表される The Power to Believe へのイントロダクション」っていうキャッチコピーも、何だかなぁ。それもこれも、あなたは満足すべきことで満足しなければいけない、しょうがない、という雄大な洒落なのか(苦笑)。そう思いながらもまたアルバム買っちゃうんだろうな。
★★☆☆☆+来年4月の来日公演に最大限期待。