souxouquit’s blog

オヤジロッカー souxouquit の蹴音映書網業泉食考♪

10CC / Godley & Creme

とってもイカしたイモ・バンド、10CCとの最初の出会いは、残念ながら彼らが既に5CCになった後であった。つまり、オリジナルメンバー4人のうち、ヒネくれパート担当の2人 Kevin Godley と Lol Creme が脱退し、(比較的)正統派ソングライターチームの Eric Stewart と Graham Gouldmanの2人になってしまった後。
気が付くとDeceptive Bends (:77年。邦題「愛ゆえに」)が発売され、Vaioの宣伝でお馴染みのThe Things We Do for Love(邦題「愛ゆえに」)がヒットチャートを賑わしていた。
最初の印象は「耳障りのいいポップグループ」だったが、ヒプノシスの手によるシュールなアルバムジャケットを睨みながらM9:Feel the Benefit を聴いていると、ちょっと只者ではない雰囲気が漂っている。
ちょうど Life Is a Minestrone のイントロを口ずさむのが趣味の、風変わりな先輩からも薦められ、ドンドン遡ってのめり込んでいったのさ。


何と言っても、オリジナルメンバー4人が揃っている10CCが最高! なんである。ほら、ポールのソロもジョンのソロもそれなりにいいけど、やっぱり2人揃うと無敵な訳でしょ。
(何と乱暴な展開。因みに10CCは「ビートルズの後継者」みたいな呼ばれ方をしていた時期もあった。73年のファーストアルバム10CC収録の Donna なんか Oh, Darling のパロディというか確信犯的パクりだし、ポールの Tug of War や Press to Play あたりでエリックは共作しているし、逆にポールはゴドレー&クレームのFreeze Frameにはゲスト参加している。93年の日本公演じゃあ Across The Universe やら Paperback Writer やらアンコールでは Slow Down まで披露した。)
ハナシが逸れてしまったが、要は、異個性がぶつかり合うことが傑作を産む原動力になる好例で、ファーストから4枚目までが10CCの真骨頂なのは間違いないのだ。


ところで、ギズモ(gizmo)って楽器知っていますか? (グレムリンの怪獣じゃないよ。でもスピルバーグがここからパクったというウワサも一部にはある。)
これはギターのブリッジ部にかぶせる箱形の機械のことで、小さな電動のモーターが弦を擦り続け、電池が続く限りギター音が持続するといった代物で、またたく間に減衰してしまうギターの限界を突き破る(かも知れない)「夢のアタッチメント」だった訳。丁度鍵盤楽器におけるメロトロンみたいなものですね。アナログ発明の極致。
これを発明しちゃったゴドレイとクレームの2人は、このギズモを駆使してアルバムを作ることを企んだ。それが「ゴドレイ&クレーム」名義で発表された、何とアナログ45回転の3枚組アルバムConsequences(77年。邦題「ギズモ・ファンタジア」)である。
正確には、この「新しいおもちゃプロモーション・プロジェクト」にかかる時間が膨大で10CCでの活動が立ち行かなくなり脱退せざるを得なかった、というのが本当らしい。でも、サラ・ヴォーン(!)をゲストに迎えたM13:Lost Weekend は心にしみる名曲だ。
その後G&Cは、78年にはL、79年にはFreeze Frameという良質の「変態ポップ・アルバム」を立て続けに発表し、完全復活かぁ? とファンに期待を抱かせておきながら、80年代に入ったら今度はミュージック・ビデオの監督三昧。ファンはしっかり肩透かしを喰らいました。


でもそこが彼らの愛すべきトコロ。以来「ゴドレイ&クレーム」と言うと、映像クリエイターとしての方が有名になってしまったかもしれない。
イエス,エイジア,デュラン・デュラン,ハービー・ハンコック,ピーター・ゲイブリエル,フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド,ポリス,ルー・リードなどなど、あの頃のMTVで彼らの手がけた作品が放送されない日はなかった。
そのひとつひとつが、ユーモアと毒とインパクトの「ごった煮」であり、彼らのオリジナリティと旺盛な実験精神には全く感服する。彼らが音楽に対して追及した態度と少しも変わることがない。


その後幾度となく「オリジナル10CC再結成」の噂が流れるが未だに実現しない。おいらは気長に待っているので、いつの日かきっと実現して下さい。
それと彼ら、昔からライブにも定評があります。楽器も上手いしコーラスも完璧。
King Biscuit Flower Hour のライブ盤(96年、音源は75年の全米ツアー、4人に加えPaul Burgessがds.でサポート)がバッチリそれを証明している。
「オリジナル10CC」のライブを観ることができたら、翌日に死んでもいい。
いや、処刑するなら、やっぱりゴムの弾にしてくれ。


お薦め盤

  • Original Soundtrack

75年の第3作。不朽の名作。「オリジナル・サウンドトラック」って言ったって、架空の映画のためのサントラ盤という狂言。8分余のロック・オペラ Une Nuit a Paris(M1:パリの一夜)は、かのボヘミアン・ラブソディを1年先行している。ピアノとコーラス・ワークだけでここまで可能か?!という大大傑作。
そのほか、そろそろ2度目の最後の晩餐に降臨してくる頃ですよってキリスト教社会ではぶっ殺されそうな内容の The Second Sitting for the Last Supper (M4:2度目の最後の晩餐)や、前出の Life Is a Minestrone(M7:人生は野菜スープ)、映画への愛情に溢れた名曲 The Film of My Love(ラスト・ナンバー:我が愛のフィルム)などなど、お買い得曲がずらり。おまけに、究極のラブソング I'm Not in Love(M2:アイム・ノット・イン・ラブ)まで入っているんだから、これを70年代ロックの金字塔と呼ばずに何と言おう。

  • How Dare You!

76年の第4作。前作の影に隠れ知名度も今ひとつだが、本作も間違いなく傑作。むしろおいらはこっちの方のファンだったりする。
何たって、アナログ日本再発盤とオリジナルジャケットの中古英盤とCDと全部持っていたりする。ジャケットワークも含め、アルバム通じて「電話」がコンセプトのトータルな作り。アルバムのイントロにあたるインストのタイトルナンバー(M1)から、もう痺れちゃうね。ポップとアートとアヴァンギャルドとブラックユーモアの、ギリギリのバランスでの美しい結晶。この美しさは、バンド分裂直前の緊張感とも無縁ではなかろう。だから、Don't Hang Up(ラスト・ナンバー:電話を切らないで)の最後には侘しさで泣けてくる、必然とも思えるその後の分裂を象徴するようで。

  • The History Mix, Vol.1

85年。ゴドレイ&クレームのベスト。お得なのは、10CC時代の名曲もG&Cの手によってリミックスされていること。「1枚でG&Cの良いとこ取り」的アルバム。彼らの毒気に当てられるのは恐いがでも聴いてみたい、という人には、入門編として最適。まぁまずちょっとづつ彼らの毒をご賞味なされ。そのうちにいつしか変態さんの仲間になってしまうのですね。それにしても「Vol. 1」って、続編は出るんかね。そうやって変に気を持たせて、結局ハニードリッパーズと同じじゃないのかなぁ(苦笑) 。
ところで、このヒストリーミックスの内容をほぼ網羅し、プラス10CC(プラスその後の5CC)の代表曲のビデオクリップも加えたChanging Facesというレーザーディスクがあるのだが、これは更にお得です。
G&Cは自分らが手がけた他人のビデオクリップもコラージュしたりして、もう映像的にもやりたい放題。ちなみに、おいらが最初に買ったLDソフトはこれだった。MTV全盛80年代の偉大な遺産。